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| 日本放射線カウンセリング学会設立趣意書 |
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| 学会設立世話人代表 柏田 陽子 |
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近年、日本の医療は大きく変わり、医師がパターナリズムを行使していた時代は、もはや過去のこととなりつつある。1973年にアメリカ病院協会が作った「患者の権利章典」が日本にも入ってきたのだ。そしてその考え方は瞬く間に全国に広がり、患者の権利を最優先とする医療へと様変わりしてきたのである。
患者の権利章典の中には、患者には、自分の病状についてとその治療法や必要な検査、それによる効果や副作用等についての十分な説明を受ける権利があると書かれている。そしてその選択権は患者にあると。ところが、日本の医療の現状を見てみると、十分な説明がされぬまま、患者が納得しないままに検査や治療が行われるケースが、まだ多く見受けられる。それは医療訴訟という形になって、連日マス・コミを賑わせている。我々診療放射線技師(以後「技師」とする)が関わる医療被ばくについても例外ではなく、妊娠中に下腹部CT検査を受けたことで、十分な説明がされないまま中絶させられた女性が、中絶を勧めた医師を相手に訴訟を起こしたケースもある。
事実、診療中に放射線検査について、その検査方法や被ばくによる身体への影響について等が、十分に説明されることは少ないと感じる。なぜなら、検査時に技師が患者から放射線検査の被ばくによる身体への影響を聞かれることは、よくあることだからだ。しかし、こういった業務中という慌ただしい状況では、ただ「大丈夫ですよ。」としか答えることができず、「あれでよかったのだろうか。もっと、うまい説明の仕方があったのではないか。」と、後で考え込む技師も多いのである。最近では病院から離れ、インターネットを利用し、ネット上で患者の質問に答える技師も増えている。ここにも医用放射線を誤解していることにより、あらぬ障害に怯え、真剣に悩んでいる人が意外に多く、顔が見えないという気楽さから、率直な意見や質問、苦情が寄せられている。だが、ここでも技師は個々に答え方を模索しながら、対応しているのが現状である。
日本放射線技師会では、平成11年に放射線管理士という認定資格を設け、カウンセリングも行えるような教育を行っている。だが、わずかの講習でカウンセリングを実践することは不可能であり、放射線管理士からも更なる研修を希望する声が多く聞かれる。
そこで我々は、全国の技師が抱え込んでいるさまざまな事例を持ち寄り検討し合える場、そして国民の要望に十分に対応しうるカウンセリング技術を学び、さらにそれを追及する場として、日本放射線カウンセリング学会を設立する。これは、放射線の専門家である診療放射線技師とカウンセリングの専門家である臨床心理士が中心になり、放射線カウンセリング学の研究,調査,教育を行っていくものである。将来的には、放射線被ばくにより心的外傷を受けた人びとへ、公正なカウンセリングを行う放射線カウンセラーを養成し、カウンセリングを実践していく計画である。
本学会で放射線カウンセリング学の科学的な研究を行うことにより、その成果は必ず国民の医療と福祉の向上に役立つものになると確信する。 |
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