日本診療放射線技師会 会長 中澤 靖夫

 国民および医療社会の要請を受けた診療放射線技師の業務拡大に伴う診療放射線技師法の一部改正は(2014年6月18日可決)、全国で働いている全ての診療放射線技師及び診療放射線技師養成教育機関に新たな教育と研修という課題を与えた。業務拡大に伴うチーム医療を円滑に推進するための新たな教育として、1.医療専門職としての責任と役割 2.医療全般における医療安全学、さらに検査治療関連行為を安全かつ適切に行うための教育として、1.臨床解剖学 2.病態生理学 3.臨床薬理学、の修得を求めている。これらの課題に適切に対応するため「業務拡大に伴う診療放射線技師教育内容検討会」の立ち上げと検討を行い、その検討資料に基づいて厚生労働省「診療放射線技師教育内容検討会」で審議していただいた。その結果、診療放射線技師学校養成所指定規則の見直しが行われ、専門基礎分野の人体の構造と機能の単位数を、現状の 12単位から 13単位に変更し、造影剤による血管内投与や下部消化管の検査に対応して、病態、解剖及び薬理について系統たてて理解する、としている。更に専門分野として「医療安全管理学」を新たな科目として1単位追加している。その教育目標は診療放射線技師の責任及び業務範囲を理解し、感染管理及び医療安全に配慮して造影剤の投与など適切に検査に伴う行為ができる能力を身につける。 また造影剤の投与に伴う危険因子を認識し、特にアナフィラキシーなど重篤な合併症の発生時に適切に対処するため、速やかに医師等に連絡し、自らが一次救命処置(Basic Life Support:BLS)を適切に実施できる能力を身につける、としている。一方、既卒の診療放射線技師の皆様方には厚生労働省「診療放射線技師教育内容検討会」で審議していただいた講習カリキュラムに基づき「法律・倫理に関する知識」「造影剤の血管内投与静脈路の抜針・止血に必要な知識・技能・態度」「下部消化管検査に関する業務に必要な知識・技能・態度」「画像誘導放射線治療(image-guided radiotherapy:IGRT)に関する業務に必要な知識・技能・態度」「試験」を実施する必要がある。本会は全国で働いている全ての診療放射線技師を対象として、二日間の「業務拡大に伴う統一講習会」(既に関連する科目修了者は一部免除)を実施することとした。この業務拡大に伴う統一講習会は日本診療放射線技師会の総力を挙げて、47都道府県(診療)放射線技師会と連携し、全国理事・地域理事・地域教育幹事・全国の教育委員・全国の講習会指導者が一丸となって取り組む必要がある。何よりも国民の健康と福祉の増進のために、医療安全のために、医療の質の向上のために積極的に講習会を実施する必要がある。この度の「業務拡大に伴う統一講習会」は法律改正に伴う重要な講習会であるため、厚生労働省の後援を頂き、修了者番号籍を本会で管理することとしている。何よりも履修された診療放射線技師の皆様方の努力を評価すると共に、医療安全上の必修講習会修了者として評価するものである。本会はこれからも国民と協働し、医療者と協働し、チーム医療に貢献し、社会に貢献できる質の高い診療放射線技師を育成するための生涯教育を実施していく所存である。
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