現行「診療放射線技師法」の改正について

 昭和26年に制定され、我々診療放射線技師の資格や業務の礎となる、診療放射線技師法の改正法案が、第204通常国会(現国会)で審議されていることをご存じだろうか。
 法案の名称は、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案」で、この一部が、診療放射線技師の業務範囲を拡大するための法律改正に相当する。
 我々の資格は、今後どの様になっていくのか、現状判っている範囲でまとめてみたい。

法案の目的

 まず、法案の目的だが、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進する観点から、医師の働き方改革、各医療関係職種の専門性の活用、地域の実情に応じた医療提供体制の確保を進めるため、(中略)一部の法律が改正される」とある。

 具体的な立て付けを読み解くと、医師の働き方改革として、「長時間労働の医師の労働時間短縮及び健康確保のための措置の整備等」として、医療法の改正が行われようとしており、その一環として、各医療関係職種の専門性の活用として、「医療関係職種の業務範囲の見直し」として、診療放射線技師法の改正を含む、医療関係職種の専門範囲を拡大するための法令改正が行われるというものである。
 つまり、タスクシフト/シェアを推進し、 医師の負担を軽減しつつ、医療関係職種がより専門性を活かせるよう各職種の業務範囲の拡大等を行うための法律改正が行われるということだ。

これまでの業務拡大

 これまでにも、診療放射線技師における業務範囲の拡大は、「診療の補助」名目で、保助看法の規制解除により行われてきた。
 平成26年6月18日には、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための法律の整備に関する法律案」(医療・介護制度改正の一括法案)が、第186回通常国会においてに成立し、6月25日に公布された。
 この一括法案の中には、医療従事者の業務範囲および業務の実施体制の見直しとして「診療放射線技師法」も含まれており、診療放射線技師が実施する検査に伴い必要となるCT、MRI検査時の造影剤の血管内投与、投与後の抜針・止血の行為、下部消化管検査時などの肛門からのカテーテルの挿入などが、「診療の補助」として医師の指示を受けて行うものとし、業務範囲に追加された。
 また診療放射線技師が、病院又は診療所以外の場所において、健康診断として胸部エックス線撮影のみを行う場合に限り、医師又は歯科医師の立会いを求めないと明記された。
 さらに、核医学診断装置については、それまで法的に診療放射線技師の業務として明確になっていなかった点が、技師法第24条第2項の業務等に追加された。
 これらの業務拡大に対応すべく、公益社団法人日本診療放射線技師会では、全国一斉に統一講習会を実施し、拡大した業務への習熟体制を構築してきたが、これらは、現行法の範疇内で実施されるものであった。

タスクシフト/シェアを推進する今回の業務拡大

 今回の診療放射線技師法改正は、我々診療放射線技師をはじめとする、医療関係職種の専門性を活用することで、医師の負担軽減を目的とした、タスクシフト/シェアを推進するため、診療放射線技師法そのものを見直して、業務として行える行為を増やすことを目論んでいる。

具体的に何が出来るようになるのか

 今回国会提出中の法案については、現在審議中であるため、確定した情報はまだない。
 しかし、下記の点が審議されており、このまま通過・可決されれば、我々の業務範囲として、これら行為が法的に認められることとなる。

・造影剤を使用した検査やRI検査のために静脈路を確保する行為、RI検査医薬品の投与が終了した後に抜針及び止血を行う行為。
・RI検査のためにRI検査医薬品を注入するための装置を接続し、当該装置を操作する行為。
・動脈路に造影剤注入装置を接続する行為(動脈路確保のためのものを除く)、動脈に造影剤を投与するために造影剤注入装置を操作する行為
・下部消化管検査(CTコロノグラフィ検査を含む)のため、注入した造影剤及び空気を吸引する行為
・上部消化管検査のために挿入した鼻腔カテーテルから造影剤を注入する行為、当該造影剤の投与が終了した後に鼻腔カテーテルを抜去する行為
・医師又は歯科医師が診察した患者について、その医師又は歯科医師の指示を受け、病院又は診療所以外の場所に出張して行う超音波検査。

法案成立と共に業務拡大が可能となるわけでは無い

 今回の業務拡大では、診療放射線技師法そのものが改正されることから、診療放射線技師籍登録者全員に法令に基づく「告示研修」(義務研修:厚生労働大臣が指定する受講必須の研修)が課せられる。
 本年10月1日に新たな診療放射線技師法が施行となることから、公益社団法人日本診療放射線技師会としては、告示研修の実施団体に指定(見込み)され次第、告示研修を順次開催する予定となっている。
 重要なことは、統一講習会のような、拡大業務の習熟を目的とした努力講習では無く、告示に基づく、必須の義務研修となることである。

今後の本会広報に十分注意!

 10月1日の新たな診療放射線技師法が施行される前には、本会が告示研修の指定を受ける予定であることから、今後、本会からの「告示研修に関するご案内」に、十分ご注意頂きたい。
 以上
(無断転載を禁止します。公益社団法人 日本診療放射線技師会)

 
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